商船三井ケニア社
2026年10月28日

パーマカルチャーの実践 ― ケニアで学ぶ人と自然の循環

     「昼間どのような仕事をしていても、夜にはみんながご飯を食べる。」 これは、先日参加したPermaculture classの講師の言葉だ。 先生は続けて言う。「だからこそ全員が農業を知っている必要があるんだよ。」
私は先日、ナイロビから車で45分ほどのンゲチャ(Ngecha)にある農園Mlango Farmで開催された1泊2日のPermaculture Gardening Courseに参加してきた。

ケニアのMlango Farmにある共有ダイニング・ラウンジスペース。木製の家具、青い壁、緑に囲まれた開放的な空間が特徴。

Permacultureとは、英語のPermanent(永続的な)とAgriculture(農業)を組み合わせた言葉として生まれ、自然の生態系の仕組みをお手本にして、環境に配慮しながら、持続可能な暮らしや社会をデザインするという考え方である。
1970年代末に、環境や生態系への汚染や異変が社会問題となっていた時期、工業や産業の在り方に対応するための技術体系として、オーストラリアの生物学者であるビル・モリソンと、生態学者のデビッド・ホルムグレンが提唱した。

私自身この言葉に元々馴染みがあったわけではないが、現在自宅でバジル・ローズマリー・観葉植物を育てていることもあり、友人の誘いを受け参加してみることにした。

Mlango Farmとは、2007年にEls Breet kamande氏と故Kamande Njenga氏が家族の土地を活用して始めた農園である。

かつてその土地は長年にわたって十分に活用されていなかったが、彼らはPermacultureの実践によって、荒廃した土地を野菜や果樹を育てる農園へと再生させ、現在では50種類を超える様々な作物が育つ有機農園となった。
収穫された農作物はすべてナイロビへ届けられている。 また現在は農産物の販売だけでなく、農園訪問や研修の提供、またエコビレッジの取り組みを実践した宿泊施設の提供を行っている。

今回のコースでは、ヨーロッパからの参加者やケニアからの参加者の計10名ほどで学びを受けた。

講義は1日ごとにそれぞれ講師が提供してくれる形で、2名の講師からそれぞれ学びを受けた。

講義内容としては、座学から始まり、農園の見学、コンポスト作りなどを行い、最後には実際に農地を耕し、作物の植えまで行った。 当たり前の話なのだが、一連の過程を通して、農業というものが自然の中で成り立っていることを体感した。また夜には各国から来た参加者が全員で食事を囲んで団欒の時間を過ごし、人間と植物がすべて一体となって一つの循環として成り立っているさまが表れていた。

またMlango Farmではボランティアやインターンの人々も宿泊していた。 彼らはそれぞれの得意分野を活かしてアート製作を行ったり、大規模な遊具の建設を行ったりしていた。
こうした魅力的な人々が集まるのは、創設者であるEls氏の歓迎の温かさによるものだろう。

ケニアのMlango Farmで開催された2日間のパーマカルチャー園芸講座の修了証。収穫したばかりの新鮮な野菜が入った編みかごの上で撮影されている。

私もささやかながら今回学んだことを自宅で実践するとともに、またすぐにMlango Farmを訪れたいと感じている。

ケニアでは農業が多くの人々の生計を支えており、農業の在り方についての議論は重要なテーマである。

ケニアのMlango Farmで収穫された新鮮な葉物野菜、キャベツ、ケールなどが、3つの編みかごにたっぷりと詰められている。

ケニアでPermacultureを実践することの利点として、以下のような問題が挙げられる。 Permacultureの考えを取り入れて、トウモロコシなどの主食に加え、豆類、果樹、伝統野菜などを組み合わせて栽培することで、小規模農家の収入と食料安全保障の向上につながる。

実際の一例として、DNRCというマクエニ郡のNGOでは、乾燥地域の農家を対象に、Permacultureやアグロエコロジーを通じて、荒廃した土地、水不足、土壌劣化、農業生産性の低下などの課題に取り組んでいる。

ケニア政府主導の農業対策では、国家肥料補助プログラムを通じた支援が有名である。 政府が肥料を調達・配布し、肥料コストの削減に取り組むことで、生産性向上と農家の雇用安定・所得向上、食糧価格の安定などに取り組んでいる。

そうしたアプローチとは異なる別の角度から、Permacultureの実践によって農業を改善していこうとしている人々がいる。
Permacultureの知識は、自然と自らの循環をより強く、鮮やかなものにしてくれるものであるようだ。
高層ビルが建ち並ぶナイロビで過ごす生活では、こうした自然と自分の繋がりの感覚も大切にしていきたいと感じた。


References | Notes


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