商船三井モーリシャス社
2026年9月30日

食がつなぐ日本とモーリシャス ― 和食を通じた文化交流と地域社会とのつながり ―

     日本の食、知識、そして伝統との関係を表す言葉があります。それが「和食(Washoku)」です。
和食は一般的に日本の伝統的な料理として理解されていますが、その本質は日本の豊かな食文化そのものにあります。そこには、世代を超えて受け継がれてきた価値観、伝統、知識が息づいています。食材の生産、調理、そして食事にまつわる技術や慣習を含み、自然への深い敬意、季節感、そして食文化の継承を大切にする考え方が根底にあります。

モーリシャスでの和食を取り入れた食文化交流の一環として、ハーブや色鮮やかなトマトとともに盛り付けられた新鮮な地元の魚。

和食は2013年にユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録されました。[1] このような観点から見ると、食は単に味を共有するためのものではなく、その文化を形づくる知識や技術、伝統を伝える手段でもあります。

外交の一部としての食

日本の外務省は、外交活動における食事の役割の重要性を強調しています。食事を共にすることは人と人とのつながりを築く助けとなり、また日本の在外公館で勤務する料理人は、公式な接遇や日本食文化の発信に貢献しているとされています。[2]

2026年1月、日本は「在外公館料理人制度(Program for Official Chef of Japan’s Overseas Mission)」を導入し、在外公館で勤務する料理人の役割をさらに強化しました。この新たな枠組みのもと、料理人には海外における日本料理や日本産食品の普及に、より積極的に取り組むことが期待されています。外務省は、その役割の拡大について、彼らを「食の外交官(culinary diplomats)」と表現しています。[3]

MOL (Mauritius) Ltdにとって、この新たな取り組みは、日本の食文化に関する知識を地域社会へ届ける機会となっています。

MOLの取り組み:料理の専門知識と地域社会をつなぐ

この新しい料理人制度を支援するため、MOL (Mauritius) Ltdは在モーリシャス日本国大使館および中島大輔シェフと連携しています。中島シェフは在モーリシャス日本国大使公邸料理人であり、ミシュラン三つ星レストランでの経験を持つ実力派シェフです。
この取り組みは、MOL (Mauritius) Ltdが進める沿岸地域コミュニティや地元漁業者への支援活動とも連携しています。

モーリシャスの沿岸地域コミュニティや地元漁業者を支援する料理活動に活用されるJICAのキッチンカー。

その目的は、単に日本料理をモーリシャスで再現することではありません。日本の調理技術を現地の食材や技術に応用し、地元で水揚げされた魚の付加価値向上にどのように貢献できるかを探ることにあります。
JICAの「ブルーエコノミーの持続可能な発展を通じた沿岸コミュニティ生計向上プロジェクト」のもとで提供されたキッチンカーは、この協力関係を実践するための有効なプラットフォームとなっています。[4]

キッチンカーを活用することで、中島シェフは地域社会に日本の料理技術や「食文化外交」を届けることができる一方で、MOL (Mauritius) Ltdにとっても地元漁業者との関わりを深め、漁獲物の付加価値化の可能性を探る場となっています。

MOL (Mauritius) LtdのメンバーとともにJICAのキッチンカー内で料理を準備する日本人シェフ。

現在の取り組みは、文化紹介の段階からさらに一歩進み、地域社会への実践的な関与へと発展しています。

地元の魚から生まれる新たな可能性

MOL (Mauritius) Ltd、在モーリシャス日本国大使館、そして中島大輔シェフによる協力は、2026年6月10日に具体的な形となりました。この日、ビーチクリーン活動においてキッチンカーが活用され、地元で獲れた新鮮な魚が天ぷらとして調理されました。

モーリシャスの参加者に魚の下処理や日本の調理技術を紹介する日本料理教室。

続く8月6日には、キッチンカーがマエブール・ウォーターフロントを訪れました。地元の漁師や女性漁業従事者たちは中島シェフとともに、地元で水揚げされた新鮮な魚を使って日本料理を調理しました。

また、この協力はキッチンカーの活動だけにとどまりませんでした。Shandrani Beachcomber Resort & Spaでは、Revey Twa Zom(Stand Up Men!)の男性13名が中島シェフによる日本料理教室に参加し、魚の下処理や日本料理について実践的に学ぶ機会を得ました。

モーリシャスでの日本食文化交流活動で、新鮮な地元の魚を使って作られた寿司。

さらに9月23日には、キッチンカーがFish Landing Station / Maison des Pêcheursを訪問し、この取り組みは再び地域の漁業コミュニティの中心へと戻りました。これにより、地元漁業者が日本の調理技術に触れる新たな機会が生まれました。

キッチンカーでの活動や日本料理教室を通じて、地域住民や漁業者、地域パートナーは日本料理を体験するとともに、地元で獲れた魚を新しい方法で調理し、提供する可能性について学びました。
その過程で、日本の調理技術や食文化の伝統に触れ、地域の水産資源が持つ新たな可能性についての視点を得ることができました。また、この取り組みは文化理解を深めるとともに、食が学びや協力、そして革新の機会を生み出すことを示しています。

知識を共有する食卓

活動の場はそれぞれ異なりますが、どの交流においても、食が人々を結び付け、文化交流を促進する力を持っていることが示されました。

MOL (Mauritius) Ltdにとって、この取り組みは日本の料理技術、在モーリシャス日本国大使館、中島シェフ、地元の漁業者、そして地元で水揚げされた魚を結び付け、日本の食文化とモーリシャスの経験をつなぐ架け橋となっています。

モーリシャスでの地域交流活動において、JICAのキッチンカーで地元の新鮮な魚を天ぷらとして調理する様子。

これは多くの点で、まさに和食の精神を体現するものと言えるでしょう。
和食は、単に料理そのものを指すのではありません。そこには、知識や技術、伝統を世代やコミュニティを超えて受け継いでいくという考え方が込められています。日本の食文化とモーリシャスの経験を結び付けるこの取り組みは、食が文化交流と相互学習のための意義あるプラットフォームとなり得ることを示しています。


References | Notes


  1. UNESCO (2013) Washoku, traditional dietary cultures of the Japanese, notably for the celebration of New Year.
  2. Ministry of Foreign Affairs of Japan (2025) Press Conference by Foreign Minister IWAYA Takeshi.
  3. Ministry of Foreign Affairs of Japan (2025) Transition to the Official Chef of Japan’s Overseas Mission System.
  4. Japan International Cooperation Agency (JICA) (2021) Signing of Record of Discussions on a Technical Cooperation Project with Mauritius: Contributing to the conservation and restoration of the coastal ecosystems and sustainable economic and social development.
免責事項: 本記事で提供されている情報は一般的な参考情報のみを目的としており、現地の規制や運用状況により内容が異なる場合があります。個別の案件については、MOLまたは関係当局にお問い合わせください。

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