商船三井ケニア社
2026年8月12日

赤道直下なのに冬?ナイロビの7~8月が寒い理由

     「アフリカは一年中暑い」。そんなイメージでナイロビを訪れると、意外な寒さに驚くかもしれません。
特に7~8月の朝は、私も上着が欠かせません。街ではダウンジャケットを着ているケニア人も見かけます。ナイロビは南緯約1度。ほぼ赤道直下といえる場所なのに、なぜこれほど涼しく、季節による違いもあるのでしょうか。

曇り空の涼しい日に、ジャケットや防寒着を着てナイロビの街を歩く人々。背景には市街地の高層ビルが見える。
一年中涼しい理由は「標高」

ナイロビが一年を通して比較的涼しい最大の理由は、標高です。市街地は標高約1,700~1,800メートルに位置しています。
一般に、高度が100メートル上がるにつれて気温が約0.6℃下がると言われています。実際の気温は風や雲、地形などにも左右されるため単純計算はできませんが、ナイロビは海沿いの都市よりかなり涼しくなりやすい高さにあります。
つまり、赤道に近いからといって、必ずしも暑いとは限らないのです。

なぜ7~8月は特に寒いのか

ケニア気象局によると、ナイロビを含むリフトバレー東側の高地では、一般に7月が寒い季節のピークに当たり、8月まで涼しい日が続きます。
7~8月のナイロビでは、朝の気温が13℃前後まで下がることがあります。日中も曇り空が続くと20℃前後にとどまり、暖房のない室内では数字以上に寒く感じられます。特に冷え込んだ日には、一部の観測地点で10℃を下回った記録もあります。
この時期の寒さには、主に三つの条件が重なっています。
第一に、南半球が冬を迎え、太陽から受け取るエネルギーが弱くなることです。ナイロビは赤道に近いため、日本ほど大きな四季はありません。それでも太陽の高さや地表が受け取る日射量は、一年を通して完全に一定ではありません。
第二に、南東季節風です。この時期にはインド洋方面から比較的冷涼な空気が流れ込み、南半球の冬の空気の影響を受けます。
第三に、雲です。7~8月のナイロビでは低い雲に覆われ、朝に霧雨が降ることがあります。雲が日射を遮ると、昼間も地表付近の気温が上がりにくくなります。
南半球の冬、南東季節風、厚い雲という条件に高地の影響が加わり、赤道近くとは思えない肌寒さが生まれるのです。ケニア気象局「2026年7月気候見通し」
一方、2~3月は晴れる日が多く、日中は暑さを感じることもあります。ナイロビにも、日本ほど明瞭ではないものの確かな季節性があります。

同じ東アフリカでも都市によって違う
赤道と、ナイロビ、アディスアベバ、キガリ、カンパラ、モンバサ、ダルエスサラーム、ジュバ、ドドマのおおよその標高を示した東アフリカの地図。

東アフリカの気候を考える際は、緯度だけでなく、標高や海・湖からの距離を見る必要があります。

都市 地理的な特徴 7~8月の服装の目安
ナイロビ 標高約1,700~1,800m 朝晩は上着が必要
アディスアベバ 標高約2,300m 朝晩は上着が必要北半球のため、最も冷えるのは11月-1月
キガリ 標高約1,500m 薄手の上着があると安心
カンパラ 標高約1,135mヴィクトリア湖にも近い 朝晩用の薄手の上着があると安心
モンバサ インド洋沿岸地域 蒸し暑さへの対策が必要
ダルエスサラーム インド洋沿岸地域 蒸し暑さへの対策が必要

アディスアベバはナイロビよりさらに標高が高く、年間を通して比較的涼しい都市です。大雨季に当たる7~8月は、雲や雨の影響で日中の気温が最も上がりにくくなります。一方、朝晩の最低気温が最も低くなるのは、空気が乾燥して晴天が続く11~1月ごろです。
キガリやカンパラも比較的標高が高いため、赤道に近い割には穏やかな気候です。
一方、インド洋沿岸のモンバサやダルエスサラームは標高が低く、7~8月でも暖かく、湿度も高くなります。同じ東アフリカでも、ナイロビからモンバサへ移動すれば、適した服装は大きく変わります。 WMO世界気象情報サービス

寒い季節とマサイマラの観光シーズン
グレート・マイグレーションの時期に、マサイマラの広大な草原を移動するヌーの大群。

7~8月は、ケニアの多くの地域で乾燥した季節に当たり、マサイマラ国立保護区の観光シーズンとも重なります。この時期に有名なのが、ヌーやシマウマなどの大群がケニア側のマサイマラへ移動してくる「グレート・マイグレーション」です。群れは例年7月ごろからマサイマラに到達し、8~9月にかけて多くの観光客を引き付けます。
ただし、動物が移動する直接の理由は寒さではありません。群れは、降雨によって変化する草や水を求めて移動します。ケニア野生生物公社(KWS)の報告書でも、マサイマラ生態系におけるヌーの移動は、主に降雨パターンによって動かされると説明されています。KWS「Wildlife Migratory Corridors and Dispersal Areas」
乾燥する時期、動物の大移動、そして欧州の夏季休暇が重なることで、7~8月はマサイマラを訪れる観光客が増える時期になります。Kenya News Agency「Wildebeest migration attracts millions of tourists」
マサイマラも標高の高い内陸部にあります。早朝のゲームドライブでは冷たい風を受けるため、観光で訪れる場合も防寒着が必要です。

「大雨季なら雨、小雨季なら少雨」とも限らない

ケニアでは、一般に3~5月を「大雨季」、10~12月を「小雨季」と呼びます。しかし、雨の量や降り方は、地域や年によって大きく異なります。
ケニア気象局によると、国内の平均気温は1960年以降約0.88℃上昇しています。近年は降雨の地域差や時間的なばらつきも大きく、洪水、干ばつ、強風、局地的な低温などが暮らしや交通に影響を与えています。ケニア気象局「State of the Climate Report 2025」」
東アフリカへ出張するときは、「アフリカに行くから夏服」と一括りにせず、訪問する都市の標高、内陸か沿岸か、そして季節を確認することが大切です。
ナイロビでは朝晩に羽織れるジャケットを、モンバサやダルエスサラームでは通気性のよい服を。複数都市を訪問する場合は、気温差に対応できる重ね着が便利です。出発直前には現地の天気予報も確認し、その土地に合った服装を選んでください。


References | Notes


免責事項: 本記事で提供されている情報は一般的な参考情報のみを目的としており、現地の規制や運用状況により内容が異なる場合があります。個別の案件については、MOLまたは関係当局にお問い合わせください。

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