商船三井ケニア社
2026年6月24日

アフリカ人材が拓く日本企業の未来 ― ケニアから始まる新たな人材戦略

「働きたいのに仕事がない」
これはケニアの多くの若者が口にする言葉です。
彼らの多くは優秀で勤勉であるにもかかわらず、国内の雇用不足によって失業状態にあります。

一方で、日本では若者の人口減少が加速し、様々な現場が労働者不足に直面しています。 その現状は深刻で、2030年には日本の人手不足は600万人までに上ると言われています。

商船三井(MOL)は2020年から外国人人材紹介事業を開始いたしました。 そして現在、ケニアと日本の二つの社会問題の解決に寄与する事業として、ケニア人人材に注目しています。

富士山と都市の風景を背景に、ノートパソコンを囲んで協働するケニア人と日本人のビジネスパーソン。
1. MOL外国人人材事業のはじまり – 船員育成の歴史を活かす –

MOLは、2020年から外国人人材紹介事業を開始しました。
これまで、フィリピン人をはじめとして、ミャンマー人やインドネシア人、ケニア人人材を日本企業へ繋いできました。
海運会社であるMOLがなぜ人材紹介を、と疑問に思われる方もいるでしょう。
これにはMOLならではの歴史が関係しています。

MOLでは現在約900隻の船を運航しており、船で働く船員の約97%が外国籍です。
1980年代からは外国人船員の養成を開始し、以来40年以上にわたって外国人船員を育成して共に働いてきました。
こうした経験を通して培った外国人人材の育成の知識は、他業種での外国人人材事業にも活かせるのではないかと考え、MOLでは2020年から「外国人人材コンサルティング事業」を開始いたしました。
紹介先は、船員育成のノウハウが活用できる風力発電点検やガス配管などから始まり、現在では宿泊、クリーニング、事務総合職など幅広い業種に広がりました。
これまでに非船員の分野でご紹介した外国人人材は200名を超えています。

2. MOL外国人人材事業の強み – 一気通貫の支援 –

MOL外国人人材事業の強みとして、商船三井グループのグローバルネットワークを活用できることが挙げられます。
各機関との繋がりを活かし、外国人材雇用における要件設計から、人材紹介、日本語教育・研修、定着支援まで一気通貫で対応しています。

また、在留資格についても「技術・人文知識・国際業務(技人国)」から「特定技能」まで全就労在留資格をカバーし、多国籍・全国対応が可能です。
採用の部分にのみ携わるのでなく、受入れ後の運用・共生まで伴走することで、企業と労働者の双方が真に望むマッチングと定着を実現させています。

3. ケニアでの人材サービスの取り組み – 社会課題の同時解決を目指して –

MOLでは現在、東アフリカの国ケニアでも人材紹介事業に取り組んでいます。

これまでは主に東南アジアの国々を中心に外国人人材をご紹介してきましたが、東南アジア諸国の経済成長や先進諸国との人材獲得競争の激化といった社会変化の中で、新たな地域の人材にも注目するようになりました。
我々は、ケニアから日本への人材紹介は、二つの社会課題を結び解決する架け橋になると考えています。

まずケニア側の社会問題として、失業率の高さが挙げられます。
特に若者が直面している現状は厳しく、ケニア政府系のKenya Labour Market Information System (KLMIS) によると、若年層(15〜34歳)の失業率は 17.7% とされている一方、Federation of Kenya Employers(FKE)によると67%と紹介されています。
FKEの数値が高いのは、非正規・不完全就業・求職断念なども含めた、より広い意味での「十分な仕事がない若者」の割合として定義されていることによると思われますが、いずれにせよ失業率が極めて高いことは事実でしょう。
新卒一括採用が主流で大学の新卒者の97%が就職する日本社会ではなかなか想像し難い状況ですが、ケニアの雇用不足は深刻で、たとえ一流大学を卒業していたとしても、卒業とともに仕事が見つかるということは非常に稀なのです。

そして日本側の社会問題として、労働力不足が挙げられます。
2030年には、日本の人手不足は600万人までに上ると言われおり、もはや国内だけで労働力を確保することは難しくなっています。
外国人人材に日本で働くことに興味を持ってもらい、ともに働いていくことが、日本のより良い未来を作っていくために欠かせません。

そこでMOLでは現在、ケニア人人材に着目し、日本企業へのご紹介を行っています。
実績として、これまでに技人国の在留資格の枠組みで5名のケニア人人材と日本企業を繋げてまいりました。
実際に日本企業で働いているケニア人社員へのインタビュー記事はこちらをご覧ください。
「ブログ」日本企業で働くケニア人社員たちのリアルな声 | MOL Africa

4. ケニア人人材は、労働力不足の”補填”ではない

ケニア人人材の日本企業への紹介は、単に数字上の労働力不足を補うためのものではありません。ケニア人材の日本での就業には大きな成果が期待できると考えています。
その理由として、以下のような多くのケニア人に見られる特性と、日本との共通点の多さが挙げられます。

  1. 高等教育への進学率の高さ: ケニアでは、高等教育機関(大学、専門学校)への進学率が15%で、これはサハラ以南アフリカで2番目に高い数字となっています。 ケニアでは、優秀でありながら職に就けていない多くの若者がいるのです。 このような優秀な若い人材を獲得することは、日本企業にとって非常に大きな利点となるでしょう。
  2. 言語習得能力の高さ: ケニアの人々には、高い言語習得能力が期待できます。 まず、ケニアは公用語の一つとして英語を取り入れており、ケニアの英語力は世界で19位にランクインしています。英語能力が高いイメージがあるフィリピンが28位であることを考えると、ケニア人の英語能力がいかに高いかが見て取れます。 また英語だけでなく、ケニアでは約60種類もの民族語が話されており、多くの人が3言語以上の言葉を話すことができます。なかでもケニアの公用語に指定されているスワヒリ語は日本語と発音が近いことから、ケニア人の日本語の発音は非常に流暢であることが多いです。
  3. 日本と似た文化: ケニアの文化には日本文化と共通する点が多く見られます。 多くの人々は非常に勤勉で、ホスピタリティ精神が高く、年上を敬う文化を持っています。さらに社交的な人が多く、職場で働く仲間としても非常に魅力的です。
  4. アフリカへの事業展開の可能性: また将来的な利点として、採用したケニア人が海外事業の担当者となって、各企業のアフリカ事業を推進していくことも可能になります。 アフリカで事業を成功させるには、現地での人脈を持っていることが重要であると言われています。日本人社員だけでアフリカ進出を試みるよりも、現地出身の社員を交えて事業展開を進めることで、コミュニケーションや事業推進が円滑になります。 ケニア人人材の採用によって生まれる人脈は、アフリカでの事業展開における重要な人的資本にもなるでしょう。

以上のように、ケニア人人材が日本企業で働くうえでのポテンシャルは非常に大きいと言えます。 アフリカと日本は、地理的な遠さからお互いのイメージが湧きづらいことが多いです。 しかしこれまで、日本に来て働いているケニア人と受け入れ側の企業の人々が互いを仲間として尊重しながら働いている事例を見てきました。 ケニア人人材の採用は、単なる労働力不足の補填ではなく、事業へのプラスの価値ももたらすと考えています。

5. おわりに – 人材獲得が日本の未来を決める –

現在、東南アジアの人材獲得は他先進諸国との競争に突入しています。 こうした状況下で日本が労働力を維持していくためには、外国人人材を一方的に「選び、採用する」という発想だけでなく、日本自体が働く国として「選ばれる」存在になれるかという視点が重要になっています。
加えて、今後、2050年には世界人口の4人に1人がアフリカ人になると予測されており、アフリカの存在感は一層高まっていきます。 これらを踏まえると、現時点でまだアフリカ人人材に十分な注目が集まりきっていない今こそ、当社がアフリカ人材紹介事業に着手し、日本企業においてアフリカ人材が活躍する土壌を醸成していくことには、大きな意義があると考えています。こうした取り組みは、将来的に日本が信頼できる働き先としてアフリカの人々から高く評価されることに繋がります。

ケニア人人材を日本企業へ紹介することは、目の前の人手不足と言う社会課題の解決に貢献するだけでなく、日本の将来的なプレゼンスを高めることにもつながるのです。
我々の人材紹介を通して、日本とアフリカの繋がりが一層深まっていくことを期待しています。


References | Notes


免責事項: 本記事で提供されている情報は一般的な参考情報のみを目的としており、現地の規制や運用状況により内容が異なる場合があります。個別の案件については、MOLまたは関係当局にお問い合わせください。

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