ナイジェリア、エチオピアに次ぐ、アフリカ第3の人口大国であるエジプトは、現在、約1億1,500万人の人口を有しています。そのうち約95%が、ナイル川沿岸から河口部に広がるナイルデルタ地帯に居住しています。首都カイロの人口は約2,500万人に達し、世界第7位、アフリカ最大の都市とされています。
(エジプトの人口推移 – 出典:世界銀行)
日本では年間90万人以上の人口減少が続く一方、エジプトでは年間約150万人ずつ人口が増加しており、両国の人口順位は数年以内に逆転すると見込まれています。
豊富な人口は、労働市場および消費市場の双方において、同国の持続的な経済成長を支える重要な基盤となっています。近年では、トルコの繊維産業において、縫製工場をエジプトへ移転する動きも見られます。 経済成長の動向を見ると、2023~2024年は紅海におけるイエメン・フーシ派の攻撃の影響により、スエズ運河の通行料収入が大きく減少し、実質GDP成長率は2.4%まで減速しました。しかし現在は回復基調にあり、2026年には4.2%の成長が予測されています。 紅海情勢には依然として不透明感が残るものの、船舶の安全な航行が再び確保されれば、スエズ運河の通行量も回復し、同国の経済成長をさらに押し上げることが期待されます。
(開発が進むカイロ郊外のNew Capital City)
少子化対策が十分な成果を上げていない日本と比較すると、若年層が多く人口増加が続くエジプトは、一見すると恵まれているようにも映ります。しかし一方で、急激な人口増加は、食料不足や水資源の枯渇、慢性的な高失業率といった課題を引き起こす要因ともなっています。さらに、社会インフラの整備が追いつかず、教育現場の過密化、居住環境の悪化、交通渋滞、環境汚染などが慢性化している点も見逃せません。
少子化に直面する国と、急速な人口増加に悩む国――状況は正反対であるものの、いずれも人口問題という共通の課題を抱えています。出生率の動向は、個人の価値観に大きく左右されるものであり、政府が完全にコントロールできるものではありません。立場は異なるものの、エジプトと日本はいずれも人口問題に向き合っており、今後は人口動態の変化に即した社会・経済システムの変革が求められていくと考えられます。