商船三井ケニア社
2026年3月18日

「住所があるのに届かない?」ケニア物流の常識とMOL CARTの挑戦

     「この荷物、郵便番号や住所が書いてないんですけど……」 日本からアフリカビジネスを検討されているお客様から、時折このような戸惑いの声をいただくことがあります。

ケニアの郵便局(POSTA)内に並ぶ私書箱の様子。ケニアでは自宅配達ではなく私書箱が一般的な郵便受取方法となっている。

日本では「郵便番号と番地」があれば、正確に玄関先まで荷物が届くのが当たり前。しかし、ここケニアや東アフリカでは、物流の常識が大きく異なります。
「なぜ指定した場所に届かないのか?」その背景には、日本とは違う2つの大きな壁が存在します。

日本から荷物を送る際に立ちはだかる「2つの壁」

① インフラの壁:物理的な住所(番地)がないケニアや東アフリカの多くの地域では、日本のような「○丁目○番地」という明確な住所や通りの名前がないことが珍しくありません。Googleマップにも載っていない目的地へ届けるという、物理的なラストワンマイルの壁が立ちはだかります。

② システムの壁:住所があっても、EMS=郵便局(GPO)による配送では、明確な住所があれば必ず玄関先まで届くのかというと、そうではありません。日本の郵便局からEMSなどで荷物を送った場合、ケニア側での配達を担うのは現地の郵便公社(POSTA)です。ケニアの郵便システムは、各戸配達ではなく「私書箱(P.O. Box)」が基本です。そのため、送り状にどれだけ正確な自宅の住所を書いても、基本的には最寄りの郵便局(GPOなど)に留め置かれます。「荷物が来たから取りに来てね」という通知を受け取り、受取人が自ら足を運ぶのが現地の日常です。

ナイロビにあるPOSTA KenyaのEMS・宅配サービス窓口の外観。国際郵便や配送を担うケニアの郵便システムを示している。
ナイロビにあるPOSTA Kenya本部ビル。ケニアにおける荷物取扱の中心となる郵便公社の役割を示す建物。

「住所があるのに届かない?」「郵便局(POSTA)まで取りに行かないといけないの?」ビジネスで急ぎのサンプルや書類を送る際、この「最後の数キロ」が大きな心理的・物理的ハードルになっていました。

MOL CARTのトライアルで実感した「現場力」

しかし、先日面白い事例がありました。弊社の小口配送サービス「MOL CART」をトライアル利用した、商船三井ケニア事務所の大山氏が、「郵便局(POSTA)まで行かず、自宅で荷物を受け取ることができた」というのです。
これは、配送システムが特別な魔法を使ったわけではありません。そのサービスのケニア現地代理店が極めて優秀だったことに理由があります。彼らは「住所がないから届かない」と諦めるのではなく、受取人と密に連絡を取り、また、インターネット上で輸入関税を支払えるプラットフォームも提供し、「ラストワンマイル」を完結させました

  • 電話での場所特定と受取人確認
    ケニアでは、住所そのものよりも「受取人の携帯番号」が何より重要です。
    事前に何度も連絡を取り合い、近くの目印を一つずつ確認しながら、実際に受取人がその場にいるかまで丁寧に確認します。

  • バイク便(Boda Boda)の活用
    仮に四輪車が入りづらい道でも問題ありません。
    地元の道を知り尽くしたバイク便が、最後の数百メートルを確実につなぎます。

こうした一つひとつの対応によって、「住所がないから届かない」と諦められがちなラストワンマイルが、現実の配送として完結しました。

住宅地でバイク便による配送を行う配達員の様子。携帯電話での連絡や柔軟なルート対応が必要なケニアのラストワンマイル配送を表している。

物流において、信頼できる現地パートナーがいかに重要かを物語るエピソードです。

商船三井ケニア事務所・大山氏のコメント

実際にMOL CARTを利用した大山氏は、現場のリアルをこう語ります。
「誤解のないように言っておきますが、私はナイロビでちゃんと『住所のあるアパート』に住んでいるんです(笑)。 それでも、これまでの託送サービスでは『GPO(郵便局)まで取りに来て』と言われるのが当たり前でした。
今回MOL CARTを試してみて実感したのは、書類上のデータ以上に、現地代理店のスタッフがいかに受取人と密にコミュニケーションを取り、臨機応変に動けるか、そして、輸入税の支払いをシンプルにするかが鍵だということです。住所が明記されている場所への配達ですら一筋縄ではいかないケニアで、『家まで届く』という当たり前の体験。それは、現場の担当者の細やかなプロ意識とテクノロジーに支えられているんだと再認識しました。」

物流営業が見る「アフリカの伸びしろ」

今回の経験を通じて、改めて感じたことがあります。
「インフラが整っていない=不便」と片付けるのは簡単です。 しかし、住所がないという課題があるからこそ、ここでは人力(現地ネットワーク)とテクノロジー(携帯電話)を駆使した、独自の物流が進化しています。
私たち物流営業の仕事は、単に荷物を運ぶことではありません。信頼できるパートナーを見極め、お客様の手元まで確実に届く「ルート」を一つひとつデザインすることです。
今回のMOL CARTのトライアルは、その姿勢が結果として表れた一例でした。
地図には載っていない、血の通った物流を。 日本からアフリカへの小口配送にお困りの方は、ぜひ「MOL CART」の詳細をチェックしてみてください。

小口配送サービス「MOL CART」のロゴ。ケニア向けトライアル配送で使用されたサービスを示す。

MOL CART サービスサイトは こちら
※ケニア向けは現在トライアル配送実施中のため、従来のMOL CARTウェブサイトとはログイン先が異なります。ご興味がある方は、上記リンクより会員登録にお進みください。法人会員も募集中です。


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