商船三井ケニア社
2026年2月11日

ザンジバル島はビーチだけじゃない:香り・歴史・街歩きで感じる奥深い旅

タンザニア沖に浮かぶザンジバル島は、「白砂のビーチと透き通った美しい海」というイメージがとても強い島です。もちろん、その美しさは期待を裏切らないのですが、実際に訪れてみると、古い交易の歴史が刻まれた街並み、スパイスの香りが満ちる農園、多文化が溶け合った食と人々の暮らしなど、語り尽くせないほど多様で奥深い魅力が詰まっていることに気づきます。本ブログでは、アクセスから街歩き、スパイス体験、歴史と政治の豆知識、そしてサッカー談義まで、ザンジバルの“奥行き”をご紹介します。

ターコイズブルーの海に小型ボートが浮かび、背景にストーンタウンの海岸線が広がるザンジバル港の風景。
ザンジバルの概要:二つの顔を持つ「香りの島」

ザンジバルは、51の島から構成される諸島で、主に2つの大きな島(ウングジャ島(通称“ザンジバル島”)とペンバ島)と複数の小島から成り立ってされています。今回のブログで触れるのは、私が訪れたザンジバル島についてです。ザンジバル島の海沿いのリゾートエリアでは、潮の満ち引きに合わせて海の表情が変わり、特に東海岸では干潮時に遠浅のラグーンが現れて幻想的な景色になります。一方で、首都機能を担うストーンタウンは、インド洋交易で栄えた歴史が凝縮された迷宮都市。アラブ、ペルシャ、インド、アフリカ、そしてヨーロッパの文化が折り重なり、扉の彫刻からスパイスの市場、石造建築の装飾に至るまで、細部に“混成の美”が刻まれています。

気候は一年を通じて温暖ですが、一般に乾季(6〜10月・12〜2月)は観光のベストシーズンとされます。強い日差しと高湿度になる日も多いので、帽子や薄手の長袖、こまめな水分補給を心がけると快適に過ごせます。イスラーム文化が根づく島でもあるため、街歩きの際は肌を露出し過ぎない装いを意識すると歓迎されやすい印象です。

「Welcome to Zanzibar」の看板の下で、多くの到着客が集まるザンジバル港の到着エリア。
ダルエスサラームからのアクセス:フェリーと飛行機、どちらも旅情あり

今回私は、ダルエスサラームからの往路はフェリー、復路は飛行機を使いました。

フェリー:海風を浴びる1.5時間の小旅行

ダルエスサラーム港から高速フェリーに乗れば、ザンジバルまではおよそ1.5時間。甲板に出れば視界いっぱいにインド洋の青が広がり、港を行き交う漁船や貨物船を眺めながらゆったりと島に近づいていく時間は、移動そのものが旅の一部だと感じさせてくれます。出発前は港ターミナルが混み合うこともあるので、余裕を持って到着しておくと安心です。船内は冷房がよく効く便もあるため、薄手の上着が一枚あると重宝します。

海運会社として、当社の事業は海に支えられており、海を守る責任を自覚しています。知識と応用研究への投資を通じ、より適切な海洋環境の管理と保全の基盤づくりに寄与できると信じています。本取り組みを支援できることを誇りに思い、この海洋ステーションがモーリシャスにもたらすポジティブな影響を楽しみにしています。

フェリーのコツ

  • できれば事前予約で座席を確保しておくと安心です。私が予約しようとしたときにはオンライン購入のシステムは故障中でしたが(笑)。
  • Azam Marineでは、35米ドル~100米ドルでEconomyからRoyalの4種類のクラスがあります。私は上から2番目の60ドルの席にしましたが、充分に快適でした。マンダジ(三角形や円形の揚げパン(揚げドーナッツ))と飲み物が提供されました。
乗客が出入りするアザム・マリン社キリマンジャロ高速フェリーターミナルの外観。
乗船する人々の様子とともに停泊する高速フェリー「The Falcon of the Sea」。
飛行機:空から眺めるターコイズのグラデーション

空路を選べばダルエスサラームから約20分。離陸してほどなく、海の色が濃淡のグラデーションとなって窓外に広がります。短時間で到着するため、限られた旅程を有効に使いたい方には強い味方です。機内は小型機が多く、手荷物サイズや重量に制限が設定されていることもあるので、搭乗前に確認しておくとスムーズです。席は自由席(SEAT:ANY(!!))。どこに座ってもOKです。私が乗ったFlight Linkでは片道35米ドルでした。

ザンジバル空港の滑走路で、Flightlinkのプロペラ機に搭乗する乗客の様子。
手に持たれたザンジバル―ダルエスサラーム間のFlightlink搭乗券。
(注意点)ザンジバル入島時に必要な「Inbound Travel Insurance」

2024年10月以降、ザンジバル入島時には政府指定の「Inbound Travel Insurance(国営旅行保険)」の購入が義務化されています。料金は大人44 USD、子どもは22 USD、3歳未満は無料。保険期間は最大92日間で、入国審査時に必ず確認されます。公式サイト(https://inbound.visitzanzibar.go.tz)で事前購入できます。一般の海外旅行保険を持っていても免除されないため、ザンジバルに入る全ての旅行者は必須の手続きです。私はダルエスサラームでのフェリー出発前の待ち時間に携帯電話を使ってインターネットで申し込み、クレジットカードで支払いました。

アフリカ旅行中に便利なe-SIMカードについてはこちらのブログをご参照ください。

「フリカ出張に革命!e-SIMで快適ネット生活【駐在員のリアル体験】」(2025年5月28日)

世界遺産・ストーンタウンを歩く:迷路の路地に刻まれた記憶

ストーンタウンは、ただの“古い街”ではありません。ダラジャニ市場(Darajani Bazaar)ではスパイスや果物、鮮魚の活気が渦巻き、オールドフォート(Old Fort)の厚い城壁は島の要塞としての歴史を物語ります。夕暮れ時にはフォロダニ公園(Forodhani Gardens)に屋台が並び、名物ザンジバルピザやグリルシーフード、サトウキビジュースの香りが空腹を刺激します。かつての奴隷市場跡に建てられた聖公会大聖堂では、痛ましい歴史を静かに学ぶことができ、旅の視点に深みが加わります。
街を歩けば、重厚な金具と幾何学模様で飾られたザンジバル・ドアが次々に現れ、職人芸の粋に感嘆します。通りは細く曲がりくねっており、時々ちいさな広場に開け、また別の路地へと誘います。迷路のようで、現地をよく知る人と一緒でないと迷ってしまいます。海に沈む夕日を眺めるドウ船クルーズもおすすめで、海風とともにストーンタウンの輪郭がオレンジに染まっていく瞬間は忘れがたい体験になります。

ショップや歴史的建物が並び、観光客でにぎわうストーンタウンの通り。
電線が張り巡らされ、小さな商店が並ぶストーンタウンの細い路地。
石造りの城壁と車両、ヤシの木が見えるストーンタウンのオールドフォート周辺。
スパイスルートのショップと伝統的な店舗が並ぶストーンタウンの路地。
ストーンタウンの通りに立つ、精巧な彫刻と金属鋲が施された伝統的なザンジバル・ドア。
香りの島を体感するスパイスツアー:五感で学び、台所に持ち帰る

ザンジバルは“スパイスアイランド”の異名の通り、クローブ(丁字)をはじめ、シナモン、カルダモン、ナツメグ、ペッパー、バニラなど多彩なスパイスが育ちます。スパイス農園を巡るツアーでは、葉をこすって香りを確かめたり、樹皮を削って味を知ったり、たわわに実る果樹を見学したりと、教科書では得られない体験が待っています。農園によっては、採れたてのココナツを割ってくれたり、果物の試食ができることもあります。

スパイスの背景には、気候や土壌、そして交易史が密接に絡み合っています。オマーン時代にクローブ栽培が広まり、島の経済を支えた歴史を知ると、ひとさじの香辛料に込められた物語がいっそう豊かに感じられます。お土産には、小分けのスパイスセットやスパイス石けん、オイルなどが人気です。

スパイス農園で手のひらに乗せられた、赤いメースが見える割られたナツメグの実。
ザンジバルのスパイス農園で、木に実るジャックフルーツを説明するガイドの様子。
ザンジバルの歴史:交易の十字路が育んだ多層の時間

ザンジバルは、古くからインド洋交易の要衝として栄え、東アフリカ沿岸文化(スワヒリ文化)の中心の一つでした。19世紀にはオマーン帝国の拠点となり、香辛料や象牙などの交易で隆盛を極めます。一方で、人身売買の歴史も重く刻まれており、奴隷市場跡や記念碑は、過去と向き合うための大切な学びの場になっています。その後、イギリスの保護領を経て、20世紀半ばには独立をめぐる激動の時代へ。1964年には革命を経てタンガニーカと合邦し、今日のタンザニア連合共和国が形成されました。

この歴史的背景は、建築様式や言語、食文化にいまも色濃く反映されています。スワヒリ語に混じるアラビア語・インド系の語彙、ココナツやスパイスをふんだんに使う料理、海の恵みを中心にした食卓。旅人は、街角の味や音、香りの中に、幾世代にもわたって受け継がれた交差の記憶を感じ取ることができます。

港と停泊する船を眺めながら、ストーンタウンの海沿いの石壁に座る子どもたち。
ストーンタウンの海沿いに広がる庭園と、海を望む白い歴史的建物。
ザンジバルの政治体制:一国二制度的な自治の仕組み

ザンジバルはタンザニア連合共和国の一部でありながら、独自の大統領(ザンジバル大統領)と議会を持つ高度な自治地域です(政治的にはタンザニアの半自治地域「ザンジバル革命政府」を構成するのはウングジャ島+ペンバ島の2島)。外交・防衛・通貨といった“連合事項”は連邦政府が担い、一方でザンジバル側は地域の内政に関わる幅広い領域で権限を持っています。このため、同じタンザニア国内でも、ザンジバルには独自の制度や行政手続きが存在します。旅の視点から見ると、行政上の表記や祝祭日、旗などに“ザンジバルらしさ”が表れるのが興味深いところです。

この「二つの大統領が並立する」という体制は、島の歴史的経緯とアイデンティティを映す鏡でもあり、文化的な多様性を尊重する仕組みとして機能しています。旅の豆知識として知っておくと、街の掲示やニュースの受け取り方が少し豊かになります。

おまけ:サッカーはナショナルチームも“別々”というユニークさ

スポーツの世界でもザンジバルは独自色があり、ザンジバル代表として地域大会に参加するケースがある一方、国際舞台ではタンザニア代表(Taifa Stars)が活動します。試合会場では、島の誇りを象徴する応援歌や旗が翻り、サッカーを通じて地域の連帯感が高まる様子に出会えます。街角のテレビに人が集まり、ビッグマッチの度に歓声が上がる——そんな光景は、フットボールが生活に根づいている証拠です。

タンザニア代表ユニフォームとザンジバルのサッカーユニフォームを並べて撮影した写真。

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