商船三井ケニア社
2026年7月29日

コンテナはあるのに、なぜ船に載らないのか?
~東アフリカ物流で起こる「コンテナ不足」の正体~

     東アフリカ向け、あるいは東アフリカ発の貨物輸送に携わる中で、「ブッキングが取れない」 「希望していた本船に積めない」 「船会社からコンテナ不足と言われた」という経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。

物流現場では、こうした状況がまとめて「コンテナ不足」と表現されることがあります。 しかし、実際にはその言葉だけでは説明しきれない様々な要因が存在します。
現場で起きていることを詳しく見ていくと、「コンテナがない」のではなく、「コンテナはあるのに希望通りに船へ載せられない」というケースも少なくありません。

今回は、東アフリカ物流においてなぜそのような状況が発生するのか、そして荷主としてどのような視点を持つべきなのかを解説します。

コンテナが積み上げられた東アフリカの港で、ガントリークレーンとコンテナ船を背景に物流業務について話す二人の担当者。
「コンテナ不足」には実は2種類ある

まず理解しておきたいのは、物流業界で言われる「コンテナ不足」には大きく分けて2つのパターンが存在するということです。

  1. Equipment Shortage(機材不足)
    文字通り、輸出に使用できる空コンテナそのものが不足している状態です。
    例えば、
    • 40HQが足りない
    • Reefer Containerが不足している
    • 特殊コンテナが手配できない
    といったケースです。
    実際に東アフリカでも、船会社や地域によっては特定の機材が不足することがあります。
  2. Space Shortage(スペース不足)
    一方で、実務上より多く発生するのがこちらです。
    • コンテナはある
    • 空コンテナも引き取れる
    • ブッキングも受け付けている.

にもかかわらず、「希望する本船に積めない」という状況です。

荷主から見ると「コンテナ不足」に見えますが、実際には船腹スペースが足りていないケースも少なくありません。

東アフリカは輸入超過地域である

ケニアやタンザニアをはじめとする東アフリカ諸国は、一般的に輸入超過の傾向があります。
自動車、機械設備、建設資材、日用品など、多くの貨物が海外から輸入されており、輸出量を上回ることが珍しくありません。
そのため、「輸入が多いなら空コンテナは余っているのではないか」と思われるかもしれません。
実際、港や内陸コンテナデポでは空コンテナが保管されている光景を目にすることがあります。
しかし、空コンテナが存在することと、そのコンテナを希望するタイミングで輸出に利用できることは全く別の話です。
また、船会社や機材タイプによっては、40HQやReefer Containerなど特定機材の不足が発生することもあります。
つまり、「東アフリカには空コンテナがある」 = 「いつでも自由に輸出に使える」ではないのです。

コンテナは世界規模で管理されている

海運会社にとってコンテナは、東アフリカだけのために存在する資産ではありません。
世界中を循環するグローバルな輸送資産です。船会社は数十万本、場合によっては数百万本規模のコンテナを保有し、世界各地で運用しています。
そのため、東アフリカにある空コンテナであっても、

  • 中国向け需要に備える
  • インド向け市場へ再配置する
  • 北米航路へ投入する
  • 欧州向け貨物へ活用する

といったグローバルな戦略の中で管理されています。
船会社が考えるのは、「どこにコンテナがあるか」だけではなく、「どこで使うことが最も効率的か」という視点です。
その結果、東アフリカに空コンテナが存在していても、現地輸出貨物へ十分に割り当てられない場合があります。

コンテナがあっても積めない理由

荷主の立場からすると、「空コンテナも確保できた」 「ブッキング確認も受けた」にもかかわらず、「次船に回される」という状況は理解しづらいかもしれません。
しかし実際の船舶運航では、単純なスペースの空き状況だけで積載可否が決まるわけではありません。
船会社は貨物の積付計画(Vessel Planning)を行いながら、以下のような要素を考慮しています。

  • 船舶の重量制限
  • 積付バランス
  • 危険品(DG Cargo)の配置
  • 冷蔵コンテナ(Reefer)の電源枠
  • 寄港地ごとの荷役計画

そのため、帳簿上はスペースが空いているように見えても、

  • 重量制限に達した
  • 貨物構成の調整が必要になった
  • 積載計画が変更された

といった理由により、貨物が次船へ振り替えられることがあります。
いわゆる「ロールオーバー」です。
つまり、「コンテナがある + スペースがある」だけでは、必ずしも船積みが保証されるわけではありません。

なぜ東アフリカは影響を受けやすいのか

こうした現象は東アフリカ特有の問題ではありません。
しかし、東アフリカ航路はアジアや北米、欧州の主要幹線航路と比較すると市場規模が小さいため、世界的な需給変動の影響を受けやすい傾向があります。
例えば、

  • 世界的な港湾混雑
  • 労働争議やストライキ
  • 地政学リスクによる航路変更
  • 船舶スケジュールの乱れ

などが発生すると、その影響は世界中の航路へ波及します。近年では紅海情勢の悪化に伴い、多くの船会社が喜望峰経由へ迂回した結果、世界的なスケジュール遅延や船腹不足が発生しました。当然ながら、その影響は東アフリカ航路にも及びました。
つまり東アフリカ物流は、東アフリカだけで完結しているわけではなく、世界全体の物流ネットワークの一部として動いているのです。

荷主としてできる対策

では、このような状況に対して荷主は何ができるのでしょうか。
物流市場の需給そのものを変えることはできませんが、影響を軽減できる場合はあります。
例えば、

  • 出荷計画を早めに共有する
  • 十分なリードタイムを確保する
  • 船社選択肢を複数持つ
  • 出荷時期に一定の柔軟性を持たせる
  • フォワーダーと早期に輸送計画を協議する

といった対応です。
特に東アフリカ発貨物では、希望出荷日に対して余裕を持った準備が重要になります。

最後に|東アフリカ物流をよりスムーズに進めるために

東アフリカ向け、あるいは東アフリカ発の輸送では、「コンテナ不足」という言葉だけでは説明できない様々な要因が存在します。
実際には、

  • 空コンテナの供給状況
  • 船腹スペースの需給
  • 船会社の機材配置戦略
  • グローバルな物流市場の変化

などが複雑に影響し合いながら、輸送計画が決まっています。
そのため、「なぜ希望の船に載らなかったのか」 「なぜブッキングが取れないのか」 「なぜロールオーバーが発生したのか」という疑問に対しても、必ずしも現地だけに原因があるとは限りません。
一方で、事前に市場動向や物流事情を理解し、余裕を持った輸送計画を立てることで、多くのリスクを軽減できる場合があります。
東アフリカ物流は、日本や欧米向け物流とは異なる特徴を持つ一方で、その背景を理解することで、より安定したサプライチェーンの構築が可能になります。

商船三井ロジスティクスでは、海外から東アフリカ向けの輸送はもちろん、東アフリカ発の輸出案件についても、現地拠点と連携しながらサポートしています。

東アフリカ向け・東アフリカ発貨物に関するご相談や、物流上の課題についてお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ先: [email protected]


References | Notes


免責事項: 本記事で提供されている情報は一般的な参考情報のみを目的としており、現地の規制や運用状況により内容が異なる場合があります。個別の案件については、MOLまたは関係当局にお問い合わせください。

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